哀愁の旧大社駅(出雲市)

旧大社駅
旧大社駅(島根県出雲市)

鳥取→境港→松江→出雲→岡山をめぐる、ゆるゆるな旅で出合った偏愛物件をピックアップの後編。

1990年に廃線になったJR大社線の終点の駅舎へ行ってきました。国鉄がJRになったのが1984年なんだからさ、やっぱJRというよりは国鉄大社駅って感じだよね。最終ランの時はいろいろな催しも有ったし特集も組まれてました。

2004年に重要文化財になり、2009年には近代化産業遺産にも認定されたそうなので、引っ込みはつきませんよ。これからも頑張って維持管理し後世に残していただきましょう。

と思ってたのですが、なんとまぁ廃墟感満載じゃないですか!めっきりな黄昏れぶりでビックリ!まちなかにある安全な廃墟として売り出せそうだよ。平日だったからなの?ちょとその辺りは疑問が残るけどね。

出雲大社参道のお店でランチした後に、ぶらぶら歩いて到着。出雲大社と大社駅の距離はさ、一畑電車の駅間よりは遠いかもしれないけど、JRとしては最寄駅だったんだから歩ける筈だもんね。楽勝だった。(パンフレットにはややこしい書き方がしてあってめげそうだったけどね)

駅舎さんがどすんと出現なさるの

駅舎もその近辺も閑散としてました。深閑としてましたとも言う。前編の「仁風閣」「興雲閣」はそれぞれお城のご近所なので平日といえど、観光客はいるんですよ。華やかなざわめきが感じられるの。こちらの「旧大社駅」ですが、周辺はまったくの民家のノリでね、角を曲がるとわっといきなり駅舎が出現するのだ。この駅が現役だった頃はどうだったの?そりゃ約30年も経てば変貌を遂げてても不思議はないですよ。でも、この唐突さはちょっと異様じゃないかなぁ。

早い話がこの駅舎を大切に守り、後世まで語り継いでいこうという住民の息吹や愛着が感じられなかった。残すことになったので鎮座していらっさりますの。物好きな方は見てってください。と、駅舎さんがどすんと出現なさったように思ったです。

まぁ私は廃墟も大好物なので、わぉ!哀愁の旧大社駅だねぇルンルン(古い)とノリノリ。ご自由にお入りくださいのような事は書いてあった。むろん入場無料。構内は結構広いんだわ、薄暗くてひんやりしてたので、最初はおっかなびっくりで散策。あら、どこにも誰もいないじゃんと気づく。やりたい放題で良いって事だなと、構内をくまなくウォッチングしました。それでいいんだろうか?謎は残る。まぁ私の場合は写真を撮る以外の魂胆はないけどね。お鉄な方なら垂涎ですよ、って、もうそのような熱狂の時期は過ぎてるか・・・。

切符売り場の窓口がずらっと並んでいて壮観。国鉄が大いばりで列車を走らせていた頃が眼に浮かぶようでした。駅はいつでも賑わってる時代だったんだよね。一等二等なんて言い方が有った事、すっかり忘れてたもんなぁ。

線路の上をトコトコ歩いてみましたよ!

あら、誰も何も言わないって事は、ここのホームから降りちゃってもいいんだね。これはちょっとコーフンしました!電車が絶対に来ないと解ってる線路ウォッチングが出来るとは思ってなかったなぁ。線路の上を歩いてもOKじゃん、凄い凄い。しかし、この状態という事は、適宜草刈りと草取りをしてますよね。エライなぁ。外観的には廃墟感満載だけど、誰かがやることはやってるっぽい。ご近所なら草取りに参加したいものだ(笑)。

ここで自主映画を撮ったら最高じゃん!と思いましたね。昔々ご近所の二俣線の線路を使い某施設のプロモーションビデオを作った事が有ってね、絵になるんですよ。線路って。想像力をかき立てるのに場所のインパクトって大きいもん。若かったらシナリオに取り組みたい所だけど、若くないのでやりませんよ(笑)。

金・土・日は日没から22時までライトアップしてるそうですよ。ライトアップ屋さんはどこでも熱心だねぇ。導入すれば後はセンサーが勝手にやるから手間要らずだとミエミエじゃんか。防犯にもなりますからと行政か組織かを丸め込もうとしてるんですよ。しかし、9:00〜17:00(入館料無料)となってる。ライトアップはしててもその時間は中が見られないのかしら?駅の中は電気が着かなかったりする?

というか、全体的にちぐはぐすぎる体制だと思った。日曜日にはガイドツアーがあるそうなので、そこは盛り上がってるのかも。でもね、最近は近代化産業遺産が注目されているのだから、もっとちゃんとしようよ。畑の真ん中にポツンとある施設じゃなくて出雲大社の門前町なんだよ。パンフレット類は置いてありました。スタンプも置いてありました。だから開設当時は勢いがあったのかもしれません。でも今となっては当たらず触らず緊縮財政なのかな。想像です。

もし、現在の動員数が目論見を下回っているならば、原因をさぐり対策を立てようよ。今ならまだ持ち直せると思いたい。素敵な建物なんですよ。鄙びて朽ち果てて風情があるとかの類いの建造物ではなくて、大正ロマンの薫り高き和洋折衷のへんてこさが楽しいデザインもそこここに。誉めてるの!重要文化財や近代化産業遺産って勝手に登録されるものではなくて、名乗りをあげて採択されるんでしょ。この建物に箔をつける事に熱心な人たちがいることは解りました。でも箔をつけたい人たちの存在と愛情や愛着は別なんだよね。

土日だけでも移動式カフェに来て貰うとか。もうね、この際この駅舎に居るだけで幸せと思う「お鉄」な方たちに是非頑張ってバックアップしていただきましょうよ。お鉄ならではのアイディアに寄り添うとか。英国の保存鉄道もそうなんだけど、王滝森林鉄道とか日本でも有志が頑張ってボランティアしてる鉄道関係の保存活動があるよね。参加してる人たちがとても楽しそうなのが素敵だなと思っているのです。駅舎愛着マニアもいるよ、きっと。そんなこんなでさ、大社駅が鉄分いっぱいのお話で溢れてたら素敵だと思うのですが、いかがでしょう?と誰彼ともなくご提案!

電灯ウォッチング

[旅行日:2017年10月]

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