正倉院展と国宝展を連チャンする


奈良国立博物館・第69回正倉院展

約40年前にね、社員旅行で奈良へ行ったのよ。興福寺、東大寺、奈良公園あたり。正倉院が見られるじゃんと楽しみにしてたんだけど、その当時でも外観しか公開してなかったのだ。

いそいそと連れだって出かけたの。で、ほほぉこれが教科書に載ってる校倉造(あぜくらづくり)なのねと皆で真面目くさって鑑賞。夕暮れになってしまった事をうっすら覚えてる。わぉそんなもんなんだ!内部を見る事は出来ないのか。大人の世界を垣間見た感じだった。さすがに若輩者でしたわね。じゃ宝物たちはどうやってみるの?

正倉院展で見るんですってよ。第1回の正倉院展は1946年開催。おお、私の生まれる前からやってんじゃん。つまりさ、正倉院さん側が今年はこの宝物、来年はこの宝物と小出し(かどうか知らんけど)に展示してくださるものを有り難く拝見させていただく仕掛け。解ったよ、いつか見に来るぞ!と誓いましたとも。

その時、東大寺は、大仏殿が大規模な修復中でさ、大仏は見られず。門前払いだったのだ。wikiによると「東大寺大仏殿/・・・しかし雨漏りなどの問題が生じ、1973年(昭和48年)から1980年(昭和55年)に再修理が行われた。」となってる。記憶違いではないのね。7年も工事してりゃハマル人々も多かっただろうよ。踏んだり蹴ったりの社員旅行なり。いえ大仏さんは期待してなかったので、そんな時もあるさと私的にはアッサリ。男性陣は宴会さえ出来ればOKタイプばかりだから、和気あいあいだった。

念願の正倉院展だ、やっと行けるぞ嬉しい!紅葉・行楽の秋。遊びの誘惑が多いシーズンに開催するので、この時期を忘れないようにしないといかん。ネットで混む時間とかいろいろ調べて盛り上がってたのでした。縁が有れば出逢えると思ってるので、今回お出ましになる宝物たちについてはチェックしなかった。

そうこうしてる内に京都で大規模な国宝展をやってると知る。こちらはもう始まってた。おお、ちょうどいいじゃん。京都にお宿を取って国宝展と連チャンしやう。ご隠居さんならではのフットワークですかね。ふふふ、幸せ!

奈良国立博物館・第69回正倉院展

お出かけ前に、関西在住、正倉院展の経験値が高い妹に連絡して、コツを伝授してもらう。午前中は慢性的に混んでいるし団体さんも多いので、午後が良いそうだ。メモメモ。オータムレイトチケットと云うちょいお得な券も出るようで、それを狙って行列が出来るそうなのだ。だから、その開場時間より前に入るのがオススメと。おお!さすがの情報である。有り難い。

豊橋をゆっくり出発して京都でランチし、のんびり奈良入りしたんですよ。ゆっくりしすぎてしまってさ、この時既に3時頃。あらまぁ。早めに奈良公園に行って正倉院の外構をみてからおもむろに展覧会を堪能するつもりだったのに、駄目じゃん。ともかくバスで奈良公園方面へ向かう。ぜいぜい。

ぎょぎょぎょ、そうだった。鹿がいっぱいいるよ。怖い・・・。人もうじゃうじゃにいる。でも、鹿が怖い。人も多い。うるさいですね、失礼しました。奈良国立博物館の入口を見ると、あら皆さん並ばずにスタスタ入場されてます。タイミングOKじゃん、入ってしまおう。めっちゃスムーズに入れてしまったのでした。脇にレイトチケット組の方達が並び始めてましたけどね。


左手前:仕覆・相良間道っぽい/右手前:古袱紗・宗薫緞子/奥:袱紗入れ・吉野間道

私にとって正倉院は、「名物裂(めいぶつぎれ)」の宝庫というイメージ。つまり正倉院が持ってる「正倉院名物裂」の数々を見たかったのだった。そう簡単にはいかんわね。今回は、布関係は少なかったかも。まぁその内にめぐってくるだろう。

名物裂=大ざっぱに古い生地ですね。古代裂とか時代裂とも云う。中国などから渡来した高級シルク。なになに間道とか花鳥なんたらみたいな有名な模様があり、しっかり研究されてる。誰々好みとか。

茶道で使う古袱紗(こぶくさ)やお仕覆(しふく)には、名物裂の色と模様を再現した裂地が多く使われます。伝来の有り難い模様って感じ。惚れ惚れするような素敵なデザインばかりなのです。宗家さん家には、本物が有ったりもする。袈裟にも使われたりしますかね。お祭りの装束にもありそう。ともかくその模様を飾りとして珍重するのではなくて、織物として使い続けようとするところが好きなんですよ。

会場はめっきりの混みぐあい。毎年定着した人気があるんだよね。凄い事だ。展覧会ですが、単眼鏡や双眼鏡でウォッチングしてる人が何人もいました。そうなんだよね。目の前に並んでいるからこそ単眼鏡でつぶさに見たり出来るのだなぁ。すっかり忘れてました。仏像ならともかく、布地はやっぱ距離があるともどかしい。今度は単眼鏡を持ってこよう!

▼ブツがないと解りにくいよね。チラシPDFなら参照してもいいんじゃないかしら。ちょと番号をつけてみました。

【1】ガラスのお皿「緑瑠璃十二曲長坏 (みどりるりのじゅうにきょくちょうはい)」は吸引力バツグン。深いグリーンで場をさらってました。ハイカラです。【2】「碧地金銀絵箱(へきじきんぎんえのはこ)」 はなんとも奥ゆかしい色で模様も素敵だった。

【3】経典とか経巻を包んだものらしい「最勝王経帙(さいしょうおうきょうのちつ)」と「組帯残片(くみおびざんぺん)」は圧巻でした。目玉のひとつだったみたいで、人だかりが凄かったけど、何度もトライして隙間ウォッチングを繰り返す。欲しい!ここが私的ハイライトでしたね。これが見られただけでも良しとしよう。

緑綾帳(みどりあやのとばり)という裂も惚れ惚れでした。布関係では、他にも装束の質感とか、表装に使ってる生地や、小物を入れてた袋の材質にも眼が釘付けだった。色合いが素晴らしい。ガラス越しとはいえ生だから味わえる刺激はいっぱいだった。

尚、今回は荷物をどさっと財布ごとロッカーに預けてしまい失敗だった。チャリ銭しか手持ちがなく、ミュージアムショップでは1点買い(笑)。碧地金銀絵箱の模様のチケットファイルが有ったのだ。素敵な再現ぶりで気に入ってます!

そんなこんなで行ったり来たりしてゆっくり鑑賞してました。出てきたらやや夕暮れ。公園の夜は早い。正倉院の外構ウォッチングはあきらめて、常設展の「なら仏像館」へ行く。正倉院展のチケットがあれば無料で入館できるのだった。有り難いシステムですわん。

いやぁ、この仏像館ってめっちゃ凄い。ともかくとても沢山の仏像がいらっさる。行けども行けども仏像だらけ。大きめから可愛いのから、あら、こんな所にいたの!と思うような有名なものもいるんだよ。花祭りの時に頭から甘茶をかけるお釈迦様みたいなのとか。

次に行く国宝展にね、ここから出張してるのもいたと思う。青銅器館も有り、つい最近青銅器に目覚めた私はルンルンと探訪させていただきまして、見応えがありました。銅矛・銅鐸の時代よりは新しいかと。

もう、すっかり夕闇。めくるめく1日でしたとさ!
そうでした。これも妹に教えて貰ったんだけど、奈良では「ぐるっとバス」という1区間100円のバスが走行してて、便利だった。通常は土日祝のみの運行らしいんだけど、なんと正倉院展の時期は毎日運行してたのです。しっかり混んでましたよ。人気があって頼もしかった!
11月6日[12,413歩]

宇治で途中下車する

折角奈良にいるんだから正倉院の外構と東大寺を見る手があるなぁと思う。思ったケド、京都へ向かう。へへ、宇治で途中下車して昼食と甘い物をいただきたいの。煎茶を買い込みたいの。

気に入ってる宇治川のほとりを散歩してみました。いいなぁ、この散歩道がご近所に有ったらいいんだけどなぁ。

12時ちょい前に中村藤吉商店本店へとやってまいりました。あらまぁ平日でもそこそこ並ばないと席につけません。20分待ちくらいだったかと。海外の方にも人気有るようです。一人でこんなに粘ったのは初めてだったなぁ。待ってる間にお茶を買ったりしてヒマを潰してたけどね。

予め何人待ちと知らされるし、ただいま何番の人が席についてると貼ってあるし、順番が来て不在だと販売コーナーにお声がけしてたの。だから、気持ち良く待っていられたし、気兼ねなくショッピングが出来たのだった。こうした気配りと努力は大切だよ!エライ!

メインは「生茶ゼリィ」なのです。だから、それがちゃんと食べられるようにセットではなくて単体の「茶そば」のみにして備えました。スイーツは別腹タイプだけどね、ふふっ。茶そばにはお抹茶をかけて食べるようにもなってたけど、茶そば自体は普通だった。というか、ものすごく美味しい茶そばってどんなん?特にイメージが浮かばないよ、すいません。

さて生茶ゼリィですよ。でかい!見た目以上にたっぷり。掘っても掘っても生茶ゼリィが出てきて感動。そいで青竹の筒がめっちゃ冷えてるんだよ。これはちょっと驚きだった。やっぱり生茶ゼリィそのものが絶品なんですよ。抹茶アイスなしで味わいたいかも。しょちゅうこちらのお土産用生茶ゼリィを食してるだけど、お店で食べる生茶ゼリィは格別かも。また来よう!新茶の季節に来るぞっと!(まだ言ってる・・)
11月7日[14,540歩]

京都国立博物館・開館120周年記念特別展覧会「国宝展」

さて、勢いで「国宝展」に参戦である。私にとっての国宝は、もうね断然、広隆寺の「弥勒菩薩(木造弥勒菩薩半跏像)」さま。断トツ!その次が、拝顔してスタイルに惚れた興福寺の「阿修羅像」さん。今回はお二方とも出場していらっさいません。でもね、既にご対面してるし、折に触れて逢いに行ける事も解ってるので余裕なんですよ。ご贔屓筋ってそういうもんじゃん。他の好物としてお茶碗類があるんだけど、実は国宝以外のご贔屓がイロイロ有りて頭の中ですら整理出来てません。


[阿修羅:興福寺国宝館入場券(2015年)をスキャニング][弥勒菩薩:広隆寺販売の絵はがきをスキャニング]

国宝だから見たいのではなくて、国宝の中で好きになるものがあるかもしれん。アチコチから集めていただいて解りやすく展示してくれるなんて便利です。と思っただけなんですよ。なんて贅沢なタイミングだったんだろと書いてて思います。

こちらも午後の部を狙いました。駅を降りてどっち?と思ったんだけどね、かなり大勢さんがある方向へ向かって歩いてるの。そいで、こののぼりですよ。なんて有り難いんだ!迷わずちゃちゃっと行けちゃいましたぁ。

しかも、ラッキーな事にちょっとした雨が降ったため、人出が少なかったようだ。内心、雨なのにこんなにも人が来てるじゃん凄いじゃんって感じだったけどね。今度はロッカーに預けるものと手持ちを考えてたので準備はバッチリ。おっと、美術館や博物館は傘の持ち込み禁止だよ。私はロッカーに預けたから楽勝だけど、傘置き場は壮絶な展開となってました。

入口は並ばずにスイスイ通過。ロビーかな待合かな、10分程度並んだ。待ってる時に、金印「漢委奴国王印」だけは、正面から見たかったら階段付近に並ぶんだよと説明がありました。これだけはマジで、もんの凄い行列でした。2時間くらいは並んでるじゃないかなぁ。


志野茶碗 卯花墻:思ったより小さかった。写真では全貌が解らないよ。ビックリ!存在感はバリバリ。公式絵はがきのスキャニング

私はスルーしましたね。後で解ったんだけど、金印はとてもちっこくてね、四方から見られるガラスケースに入ってるの。だから後ろ側とか横とかからチョイと見るだけなら、並ばなくても楽勝なんですよ。抜かりなく拝見しましたよ(笑)。

さて、結構な物量で見応えは充分だった。ずっしり見たぞって感じ。陶磁器類が少ないじゃんと思ったけど、重文ならともかく国宝は点数が少ないので贅沢は言えない。

4期に別れてて、私は3期。「曜変天目茶碗」は逃したけど身代わりに「油滴天目茶碗」がいらっさった。うりうり!美しかったですよ。「大井戸茶碗 喜左衛門」は迫力満点。誰もいなかったので存分に見させていただいた。ひっくり返して梅花皮(かいらぎ)や高台をちゃんとみたいなぁと思いつつ・・・。

そして長谷川等伯「松林図屏風」。これは会期の表を見てて発見。しめしめ。お逢いできますねと楽しみにしていました。良いに決まっとる。いえ、生の迫力とはこれの事だよ。何故かゆっくりご対面できてしまいまして感動を噛みしめてました。知らなくて感動したのが、円山応挙の「雪松図屏風」これは力強くて素敵だった。構図もちょい変でいいなぁ。とても気に入ってしまった。


長谷川等伯「松林図屏風」の公式絵はがきをスキャニング。縦の筋は屏風のように折るための折り目なんですよ。


瓢鮎図 如拙作・妙心寺塔頭退蔵院にて以前複製画を拝見した。公式絵はがきのスキャニング

妙心寺の塔頭である退蔵院の「瓢鮎図」は本物に出逢えました。退蔵院には複製画が置いてあります。そうそう、平等院鳳凰堂からは雲中供養菩薩像さんが代表して3人来てた(全部で26人いらっさいます)、あと出雲歴史博物館からも銅鐸の代表が出張してきてました。交代制で頑張ってます。

参考の画像は無いけど、両界曼荼羅図(伝真言院曼荼羅)は少し前に五木寛之さんの番組で解説つきで紹介されてたのよ。おおコレか!面白い。とても引きこまれてしまった。3期4期だったので私を待っててくれたのねと勝手に感動してました。

そうじゃん蒔絵もいっぱい有ったなぁ。徳川さんの嫁入り道具も豪華だった。徳川美術館の攻略も画策しやう。あら、結構国宝好きかしら(笑)

最近クリアファイル好き。結構たまってきました。あら、ここだけデフォルメしちゃっていいいですか?と驚き。有名な「観音猿鶴図」からお猿だけアップになってるじゃん。前から好きだったので即ゲット。今回は財布を持ってるから強気だった(笑)。

少し紅葉してるお庭で休憩。なんでかロダンの考える人がいる。そしてやっぱり気になるのが旧館(明治古都館)だよ。是非入ってみたいものだ。頑張って見張り続けてさ、使う時を狙い撃ちしようっと!!

11月8日[12,965歩]

ビッグな展覧会を連チャンで攻略して思う事

正倉院展と国宝展ですが、ネットで調べるとチケット売場がかなり混むそうな。国宝展は始まっちゃってたんだけど、正倉院展はまだ前売券の発売中だった。なのでセブンイレブンのチケット販売を利用しました。手数料無料。ネットで申し込んでおいて予約番号を見せてお店で発券。素早くて便利で良かったです。国宝展は奈良の滞在ホテルから予約して翌日京都で受け取ろうとしたのだ。わぉちょとやられた。

地元だとセブンイレブンの場所が解ってるじゃん。京都は四条烏丸に泊まってたんだけど最寄りのセブンイレブンってどこ?案外ファミマとかローソンが目立ってて焦りました。大都会なので、無いって事はないと思ったけど、分布状態までは把握してないからねぇ。Googlemapでチェックしたら行きたい方面の地下鉄の駅近くに有り助かったけど、ホテルの近くには皆無だった。今後は気を付けようと思いましたです。

展覧会ってなかなか体力を使うよね。今回はふたつの展覧会攻略が目的。混雑を避けるためにどちらも午後からの出陣にした。するとね、それまで体力を温存しつつ時間を潰さないといかん。これ、なかなか大変だった。奈良は到着したまま、しゅわっちと出陣。温存どころかはぁはぁぜいぜい、いそいそって感じで初心者マークめぐりをする。京都は午前中を無難な書店めぐりをしつつ、京都国立博物館方面へ移動したのでした。方向音痴なので新規開拓は危ない。うっかりな観光はできんの。


毎日新聞の特別号外、会場に山積みになってた。情報内容充実!!

どちらもゴージャスな展覧会なので、ワンツーしてしまうと印象は薄れてしまうかもとは思ってました。どうだったと思いますか?

やっぱりちょっと両方が混じってしまったかもしれん。「正倉院展」は、思ったより点数が少なかった。期待と妄想が膨れあがってたからなんだけどね。だからその後の「国宝展」の規模には感嘆した。物足りなかった気分が一掃されて、いきなりお腹いっぱいになってしまいました。

贅沢な事だとは思うけど、それで良かったのかどうか。国宝の知識があるワケじゃないので、全体の雰囲気に飲まれつつ右往左往してただけかも。あら、どっちの展覧会で見たんだっけ?とかさ。

コホン。正倉院展は来年もチャレンジするつもりです。今回の経験を活かしてより楽しむぞっと。次回は第70回なので、特別メニューが有りそうでしょ。今季にデビューを果たしておいて良かった。ちゃんと単眼鏡を用意しておこう!(ココにメモしておけば忘れない・・・かな?)

このコーナー、ビジュアルが少ないので牛乳のご登場。正倉院の売店で牛乳を買うなんて、なんか唐突だよと思ったけど、瓶入りならチャレンジしないとね。生乳100%の低温殺菌牛乳。飲みやすかった。鹿の小物を添えて奈良っぽくしてみました。もうひとつは京都大丸にて購入のノンホモ牛乳。これは濃くて甘かったなぁ。熊本からやってきてたとはと、後から気づいたよ。

秋晴れの最終日

最終日は妹と待ち合わせ。老舗料亭でご昼食。一人ではとても挑戦できんけど、二人なら何でも来い。ほんまもんの老舗料亭でしたが、予約は食べログからポチッと出来てしまったのだった。時代は変わるのう。

豊国神社と方広寺へ。史跡情報はお任せの妹がいて便利です。でっかい石垣を撮り忘れたなぁ。こちらの鐘楼の銘文から鐘銘事件が勃発し、大阪の陣を引起すことになったんですって。文字を狙ってみました。しかし、読めんて。それと、天井の悩ましい絵はいかがでしょう?

本日は気持ちの良い秋晴れ。妹はこれから「国宝展」へいかはります。私は豊橋に帰るのです。ほんじゃまたね!

11月9日[15,585歩]

※さらなる過去記事
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