砂丘と鳥取方式と民藝美術館


鳥取砂丘

雨上がりで快晴の鳥取砂丘

絵に描いたような快晴!やった!私にしてはどっぱやく起きて路線バスに乗り鳥取砂丘へお出かけ。早朝なので、観光客さんいらっさい!みたいな解りやすい乗り場ではなくて、通勤・通学がメインな感じでややディープなノリ。

大丈夫か?このバスでちゃんと観光地へ行くんだろかと不安だった。予感的中。バスは正しいと思うけど、バス停と砂丘の位置関係がつかめなかった。ここはどこ?まさかと思うけどGooglemapさんに案内していただき、ダイナミックな迂回路で到達する。

実は砂丘の入口は降りたバス停の目と鼻の先に有ったみたいだ。わざわざお山に登り「砂丘センター」や「展望台」に遭遇してから浜辺に降りたのでした。何をやってんだか。

でね、一度は見てみたかった砂丘なんだけど、来てしまえばまぁ予想どおり。なるほどねと素直に向かい合うの図、格別な感動はない。予想より広いとか狭いとかも思わなかったなぁ。砂漠じゃなくて砂丘だもん。

おお、観光客いるじゃん!あれがガイドブックに載ってた「馬の背」だね。あんなとこ登らないよ。砂地だし歩きにくそうじゃん。と思ってたけど、他にやることもないし・・・ここまで来たんだから登っておくか。素直なツーリストしてしまいました。登ったら、海が見えた!当たり前か・・。

「写真を上手に撮りなよ」と、とんびが華麗に舞ってくれたけど、腕がへっぽこなので無理(涙)。しかし写真加工のスキルは高いので、手軽に拡大しちゃうのだった(笑)。

観光用のらくださんが、いらっさりました。ご苦労さまです。だいぶ前だけど、モンゴルのゴビ砂漠に4日ほど滞在した事があります。ゴビ砂漠は砂地ではなくて、石がごろごろしてて車もぶいぶい走れてしまうのだ。ひたすら広い。でも一部だけこんもりと砂丘があり、そこにはやっぱりお約束、観光客用のらくださんがスタンバってました。どっちもいい勝負つーか、無理矢理っぽいよ。

らくだと言ったらそりゃぁサンタナの「キャラバンサライ」だよね。砂漠といったらポール・ボウルズというかベルトルッチ監督の「シェルタリング・スカイ」か。アントニオーニ監督の「砂丘」もあるか。和物は安部公房の「砂の女」だしょ。でも、勅使河原宏監督の映画は、静岡県浜松市の中田島砂丘で撮影したのでした。あらら、鳥取砂丘に戻ってこれないじゃん。砂との対話もないので、帰ろう。

砂の美術館

昼食にはまだ早いなぁ。街へ戻ろうと思い、バス亭に向って歩いてたら「砂の美術館」に出くわす。そうだった、これまた近くに来たので観ておくか。「素直なツーリスト」本日のテーマでござる(笑)。

この観光地でもお金を落とさせる工夫はイロイロあったけど、ちょい半端というか、町おこし的ありがちなアイディア止まり。砂丘へは道端からふと入れてしまうのに、駐車場付でドライブインのような仕掛けを作りお山の上に誘導し、有料のリフトに乗せて砂丘詣でをさせるとかさ。大型バスを止められる事は大事ですからね。

で、観光会社にとっては、連れてきた客を放し飼いにして1時間くらい遊ばせるスタイルが便利なんだと思う。観光地+美術館が成立する要因でしょ。「砂の美術館」は申し分なしですよ。鳥取砂丘だから砂をふんだんに使った物体はOK。つまりここでしか見れない感にそそられる。時期によって展示されてるものも違うので、タマにダブってしまう人がいても展示物がそっくり交代してるかもしれん。アイディア賞だね!完璧な施設とコンセプトだなぁと感嘆!

なによりも作品の完成度が高い。気合い充分で、しっかり労力がかかってる。日本は時々この部分の認識が甘いと思ってた。ディズニーランドはこの部分をちゃんと認識してるから常勝してると思ってた。時代は変わるんだなぁ。やる時はやります、鳥取エライ!これだけ予算をかけられればそれなりに定着するんじゃないでしょうか。作家さんもお仕事になって安心というか。どうなんでしょうか。好きか嫌いかと言われたら、私はどっちでもない。愛知県東栄町でやってるチェーンソーアート競技大会みたいだなぁと思ったくらい。

砂像は水で固めただけの塊だそうなので恒久ではなく、危うさと刹那さを持ってると。時期がくれば撤収する宿命という事だ。「砂の城」の大人版ですやん。私が見学したのは、第10期「砂で世界旅行・アメリカ編」。観光パンフレット的アメリカがずらっと居並んでました。いまだにコレをピックアップするか、と突っ込みどころ満載。やれやれ。

第10期「砂で世界旅行・アメリカ編」〜世界に誇る大自然と自由の国を訪ねて〜
会期:2017年4月15日(土)〜2018年1月3日(水)

結構でっかい会場で野外有り、室内有り。砂像はこれでもかと、どかどか鎮座しててお腹いっぱいでした。道路脇では「ウォーキングデッド」シーズン8放映記念のデモンストレーション用の像を造ってた。おお、これはファンには面白いかも、FOX頑張ってるじゃん!

そうだよ、札幌雪祭りでスターウォーズの像を造ったよね。アレか!アレの砂版だよ〜〜 雪より扱い易そうで、耐久力もありそうじゃん。なるほど刹那的な塑像の伝統って脈々と受け継がれているんだね。

「造園技術の継承をしています」 と「鳥取方式」


造園技術の継承をしています。
この緑地は、造園技能を若年者に継承するため、実施講習を行いながら樹木管理しています。

まち歩きでふと気になった看板がコレ。「造園技術の継承をしています」おお、やるねぇと思った。

本物の公園で実地講習。それって有りだよ!「立派な業者にお金を払ってちゃんと管理しろ」と云う場面もあるだろうけど、そうじゃない場面の方が実は多いかもしれん。

樹木がわさわさボサボサしてるよりも、セッセと訓練していただいてちゃんと管理されるなら大賛成と思いません?技能の継承や向上だけじゃなくて、造園に興味を持つ若人が増えればもっと良いもんねぇ。

何よりもこういう事をやってますよとキチンと住民に宣伝できてるところが素晴らしい。鳥取県のマーク付き。


「鳥取方式」の説明看板

そして、こちらの立て看板にも出くわす。おお、そうじゃん!有った有った。芝生といえば「鳥取方式」だよ。

現役時代ですが、芝生関係のWebのお仕事を複数やってました。ちょうど幼稚園や小学校の校庭の芝生化が提唱され始めた頃かと(2009年くらいっぽい)。その時に、芝生の植え方と維持管理などをルール化した「鳥取方式」の存在を知る。

既に商標登録も取得していて、先陣を切ってる感じが有りました。その時は、ふ〜む、芝生業界恐るべし、いろいろ有るなぁと思った程度ではあったんだけどね。

そうか、鳥取の民は独創的なのかもしれん!さらに、街のそこここで観光客よりも住民に目が向いてる地道さ、実直さが感じられました。

お城の付近に着いたらガンガン工事してたのよ。何の大工事?と思ったけど、でっかい看板が出てて思わず見入る。これが写真付きで興味深い内容だったのよ。自分達の都合を押しつけてるんじゃなくて、ちゃんと説明しようとする平等感が有りました。いいことだなぁ。最近は時々工事現場にも説明が出るようになったよね。住民を置いてきぼりにしないような進化を遂げるといいなぁと思う。

地方都市の宿命のように良くあるプロジェクトにそそのかされてるっぽい事柄にも出くわしました。銅像とかさ。でも、鳥取県民・市民さんはね、実はそんなもんを軽く凌駕するアイディアもパワーもあるんじゃないか。率先してやったろうじゃんと狙ってるとかさ。ダジャレの旨さだけじゃないのねっと感服する秋晴れの午後だったのでした!!

鳥取民藝美術館

ガイドブックで唯一、この「鳥取民藝美術館」は異様そうだ、変すぎる建物だし行っておこうと思った場所。渾然一体とした猥雑な展示ぶりを予想してたけど、まるで違った。まともなコンセプト・プロジェクトだった。

「鳥取民藝美術館」で民藝品を展示してる。(要入場料)
「たくみ工芸店」で民藝品が買える。
「たくみ割烹店」の郷土料理は民藝品を使用している。

芸術品って高いし、庶民には買えない。でも民芸品なら買える。だから売ってる。なんと、その器を食器として使ってる割烹が隣接してる。という事かな。まぁね、素晴らしい器や調度品を世に出そうとする理想形態なのかもしれん。でもなにもかもしっくりこなくてねぇ、消化不良のまま帰ってきました。芸術品と民芸品の違いって何なんだろ?良く解らん。芸術品だから、重要文化財だからと、何でも有り難がってるワケでもないでしょ。予備知識なんか何もなくてもガツンと来る展示もあるもんなぁ。

これは民芸品ですと芸術品のようにいろいろ展示されてました。鳥取の奥は深い。

9月29日[15,382歩]

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