天城湯ヶ島温泉・落合楼村上


落合楼村上の玄関

ある時、伊東でホテル発の小ツアーに参加した。「文化財の宿・落合楼村上の昼食と建物の説明付き」という文言に惹かれたのだった。どこにあるのか知らないけど、連れてって貰おうじゃないの!って感じ。伊豆半島の真ん中あたりにありましたね。ツアー全体は市中引き釣り回しの刑タイプでぐったり、ゆとりが全くないよ!と憤り。二度とツアーには参加しないぞと誓う。

それはともかく「落合楼村上」は一人では攻略できそうもないタイプでした。だから、団体戦での突撃は正解だったと思う。そこだけポイント獲得だよ、やったね!

総勢15人くらいだったから団体と云うよりグループかな。まぁね、基本的に老舗の料理旅館に一人で泊まるって落ち着かないと思いません?さすがにトライした事はない。私の場合は天然温泉にも興味がなかったりするから、何しに来たのだ!?光線バリバリだろうしねぇ。


昼食・信玄弁当と豆乳鍋など

登録有形文化財の中でご昼食

川端康成が「伊豆の踊子」を執筆したという湯本館がお近くに有る天城山中の湯ヶ島温泉郷。落合楼村上は、本谷川(ほんたにかわ)と猫越川(ねっこがわ)が落ち合う地に有り、情緒たっぷり、風情もたっぷり。そして、アッチもコッチも登録有形文化財。

108畳の大広間で昼食をいただきました。自慢のお食事らしいのですが、すいませんこの時は普通のように思いました。市中引き釣り回しのバス代込み7,000円程度。無理は云えましぇん。

昼食後は、お待ちかねの説明タイムとなりました。通常はこのお宿の店主さんが案内をしてくれるそうなんですが、この日は代役で番頭さんのような方が説明してくれました。

やっぱ説明を聞かないと気づかない所は多く、ちょっと聞いただけでも、この時代の壮絶なこだわりぶりが続出しちゃって、めまいがする程だった。す、すごっ!

しかし、むっちゃ腹立たしい事に、この説明の時間をツアー側が短く見積もってたのです。大広間から廊下に出たあたりで、巻きが入り、時間切れ。客室もお風呂も到達すらしなかった。なんだよ、それ。

迷路のような階段とかネタはいっぱい有りそうだったのに、残念無念。そして、お宿の冊子とか有ったかもしれないんだけど、急かされてたから貰ってこなかったのだわん、シクシク。Webにはたっぷり説明が書いてある筈と思ったけど、そうでもなかった。この写真て何が目的で撮ったんだろ自分・・みたいなのを補完して欲しくて探したけど殆どの情報が見つからない。つまり後の祭り状態なのである。動画はイロイロ有りそうだけどね。見るのに時間がかかるからなぁ・・・。

尚、ネット上ですと、外部の方の面白い記事は色々見つかりますよん。スルガ銀行肝いりの「落合楼村上」再生プロジェクトみたいな投稿記事が見つかり、所謂粛々と続く老舗旅館ではなくて、仕掛けた気鋭の業態なのだと解る。だからこんなに開かれているのかと納得。この業態はとても興味深いと思いました。地域経済とも協調して文化財を丁寧に守り、頑張って後世に伝えていって欲しいです。公式Webの内容は自分達でないと提供出来ない事柄や想いについて、見直す余地があると思うけどねぇ(ボソッ)。

YouTubeの動画にツアーなどが結構有り。興味があればどうぞ。

壮絶!柱のない108畳の大広間

覚えてる範囲でご容赦ね。
大広間には大きな床の間が有ります。掛け軸もひと講釈有ったかもだけど覚えてません。ともかく床柱にご注目。紫檀の床柱なんですけど、番頭さんのお姿から推測してみよう。こんなに太い紫檀があるんだねぇって感じでしょ、そしてこれ天然の模様ではなくて、彫り師さんが彫ったものなんですって。

さらに、なんと1階から2階まで、通し柱なんだと。どこから調達したんだろ、絶句。紫檀の細工だけでも、仰け反りものなのに床柱は2本もあるんですよ。2本も通してれば丈夫だよね、というレベルは超えてるけど念のため強調しておこう。なんて贅沢な作りなの。こだわり抜いてます。今ならどんなに金銭を積み上げても出来なかろうもん。

でね、この大広間には柱がない!!しかして、つり天井なんですって。108畳ですよ。そんなものが釣れるんだね。当時の技術に仰天して、感嘆す。何をどうやって運んだろ?何人で組んだんだろ?深まる謎も続出したのでした。でも大広間全体の写真が無かったよ、痛恨。

障子は、モチロン毎年張り替えます。この紙も特注のサイズなんですって。そして、障子の桟も講釈があったのですが、忘れてしまったよ。面取りしてあるって事だったとは思うけど、もっと何か含みがあったかも。さらに、私的にいつも大注目の、取っ手、引き戸などなどの建具。そこかしこの惜しみない丁寧さにもひれ伏しました。組子細工も惚れ惚れする作りで、バリエーションも多く目を奪われる。欄間も押さえるベシだったのう。お風呂やお部屋の説明もこの調子かな。見せて貰いたかった〜 聞いてみたかった〜!!

気が向いたらお友達と宿泊を兼ねてリゾートするのも良いかも・・・とも思う。緑が多く周囲も落ち着いてて良い雰囲気だったからね。そう、再チャレンジのポテンシャルは充分に有る。

そのお友達と由比ヶ浜にある「かいひん荘鎌倉」には泊まった事があるんですよ。10年以上前かな。ここもこだわりのお宿で、大正時代に建てられた洋館が素敵だったけど、宿泊は純和室だった。しかし、旅館てさ、お布団の上げ下げとか、お食事タイムとか(ひとつひとつお部屋に運んでくれる昔ながらのスタイルだった)シバリが多くてね、自由時間が足りなかった印象なのよ。遊びに来たのに忙しいじゃん。やっぱホテルの方が慣れてるし、気楽だよねとつい最近も話題に出たの。この想いを二人で突破できるじゃろか、と思ったりもするのだった。 [旅行日:2016年2月]

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