東舞鶴でパラピリオの森に迷い込む

東舞鶴の赤れんが配水池に「パラピリオの森」が出現したと聞き、探訪してきました!

小浜や舞鶴は若い頃に何度か遊びに行った事がありました。若狭湾だったか、舞鶴湾だったかの無人島でキャンプしたり、海から自衛隊の基地が見えたりとか。いろいろな土地に行ってないワリにこの地には縁があったんだよね、ちょと懐かしい気分も手伝い、気軽にやって来ちゃいました。

パラピリオの森

赤れんが配水池を使ったアートプロジェクトです。赤れんが配水池(旧北吸い浄水場配水池施設)は、海軍が軍港内の飲料水を確保するために作った施設で、海上自衛隊舞鶴基地にほど近い眺めの良い丘の上に鎮座ましましてました。

あいちトリエンナーレ2016のトリエンナーレ部会を通して知り合った舞台映像デザイナーの山田晋平さんが、このプロジェクト「パラピリオの森」全体のディレクションをしています。思い切って観に行ってしまおうと身を乗り出したキッカケは予告編。

舞鶴赤れんが配水池特別展覧会「パラピリオの森」予告(YouTube)

うわっこの建物は凄そうだ、内部までじっくり観たいぞ!!いや、やっぱ建物だけがみたいんじゃなくて、この建物を使いどんな事が出来るかも観てみたい。だってどうやったってダークで隠微ぽいじゃんか。私にはここがポイント。この空間から何をどんな風に触発されたのか見届けよう。好都合の企画なんじゃないの。と私にしては案外念入りに捉えたのでした。

と言いつつ、京都でさ、この時期なら食べられるスイーツがあるんですよ。それも一緒に楽しめるように一泊しよう、舞鶴もゆっくり散策できて良いじゃん。さすがヒマ人である。思いつきの行動ぶりに自分で感動する。

風は強かったけど、快晴で気持ちのよい一日でした。東舞鶴駅からお近くまでバスで行き、案内の看板を頼りに小高い丘を登る。最終日で人も結構いたし、開放的な雰囲気で気楽に観られて良かった。臨時のカフェも有ったしね。

迷路のような貯水槽の中にイロイロなオブジェが置かれていて、次はどんな風になってるのかな?とドキドキしながら進む仕掛け。ちょっと閉所恐怖症ぎみなので、高い塀に囲まれた威圧感にビビりました。でも、観客がアチコチにいたので、怖がってちゃあかんと言い聞かせつつ進む。壁がぐっと高いことさえ忘れていられれば、空間としてはそれなりに広いので大丈夫だったけどね。でも、次回はお友達を誘って来ようと思ったな。そう、次回はどんな展開になるのだろうか?と早くも楽しみです!

生パンズ・ラビリンス?!

おおお、生パンズ・ラビリンスみたいじゃん!と思いましたね。へんてこで偏愛的な物体しか存在しない。ここは私にはダンジョンだし、まさに迷宮。アートは詳しくないかもだけど、映画愛なら任せてよ。ミシェル・ゴンドリー的でもあり、ウェス・アンダーソン的でもあり、ジャン=ピエール・ジュネ的でもありの世界観ともいうか。いかんな、年代が偏ったよ。私のアイドルである大御所テリー・ギリアムも仲間にしよう。そのような世界の好きな方はハマります。

あっ、これはガガ博士の痕跡だよね、彼が観察していたらしい謎の物体もイロイロ置かれていて楽しい。音の出る小物もあってマジにぎょっとしたり。たっぷりもて遊ばれてる感じが続きました。

この赤れんが貯水池のために書かれたガガ博士の物語があり、ネットに載ってたので、素直に予習してました。現実から仮想に迷い込む仕掛けがうるさくないんですよ。ゴリ押しが全然なくて、その人任せっぽいの。これ徹底してて感嘆。乗せられてノリノリで楽しめた!!

建物があって、アートが絡んでくる。この時に、ここでしか観られないとても贅沢な取り組みだった(赤れんが貯水池は、一般公開されてなくて、こうしたイベント時に公開される)。まるごとひとつのストーリーだったのが面白かった。まぁこういった贅沢な事を敢えてやろうとするのがアートなのかも。この赤れんが配水池を使ったプロジェクトは今年で何回目かになるようです。ご家族連れも多く、なかなかの賑わいでしたよ!来年も楽しみです!

特にその標的となりうる「建物や物体」が都会にあるとは限らない所がくすぐられるというか、無尽蔵な期待を持っちゃいますね(笑)。変なモノが有ったもん勝ちだもんね。いや、変と決めつけてはいかんか。でもね、あまり文化財然としてるものよりも、戦後を逞しく生き抜いてきちゃいました的な強い建物の方が、アートとしても取り組み甲斐があるんじゃないかと思ったのだ。歴史的なものであってもね。

今までは、このようなアートシーンについて、積極的な情報収拾などしてこなかった。むしろ敬遠してたと云える。だってアートでございと大上段的なものが多いように思ってたからね。でもこれからは、意欲的な取り組みがキャッチ出来るように精進しよう!時間も融通つく事だしさ。これって、さりげない目覚めなんでしょうか。

<参考>
ギレルモ・デル・トロ監督「クロノス」「パンズ・ラビリンス」「クリムゾン・ピーク」
ミシェル・ゴンドリー監督「エターナル・サンシャイン」「恋愛睡眠のすすめ」「ムード・インディゴ」
スパイク・ジョーンズ監督「マルコヴィッチの穴」「かいじゅうたちのいるところ」
ウェス・アンダーソン監督「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」「グランド・ブダペスト・ホテル」
ジャン=ピエール・ジュネ監督「デリカテッセン」「ロスト・チルドレン」「アメリ」
テリー・ギリアム監督「バンデットQ」「未来世紀ブラジル」「Dr.パルナサスの鏡」

赤れんが配水池に迫る

私の腕ではこの素敵な建物の全貌を捉えることは無理。ともかくでかいこと、半端じゃない深さなこと、壮絶なことが伝わればと悪あがきしてみました。

この赤れんが貯水池の説明で、なるほど!と感嘆したのが、これ。飲料水を貯蔵してたので、異変がおきないようにキッチリ見守る必要ありました。その際に水面から見てこのアールの模様がちゃんと見えてる事が、正常な状態の水であることの目安になったそうなんです。陽が当たらないから酸化しないし。いろいろダイナミックだなぁと思う。

舞鶴赤れんがパーク

バスに乗ってる時に、赤れんが倉庫群を通過してきたんですよ。帰りに寄ってみよう、たらたら歩いていれば東舞鶴駅にもたどり着けそうじゃんとトライ。駅で市内マップを貰ってきたので心強い。行楽日和だしね!すぐお近くでした。観光客さんもいらっさいました。中まで見られるところと外観だけと有ったけど、無料だしそれなりに楽しめました。ちょっとした展示やショップにも利用してるのがグッド。さっさと壊してしまわずに残しててエライなぁ。

このような建物を観るとザ・バンドの「ビックピンク」みたいだなぁと、憧れのうるうる目線でついパチパチ撮る癖があるんですよ。近くに有ったら毎日お散歩に来て見上げるのになぁ。「ビックピンク」はこんなにがっしり鉄筋じゃないけどね。ともかく天井の高い建物、ドいいな〜

<参考>
ザ・バンドのデビューアルバム「ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク」の裏ジャケに載ってます。「ビックピンク」は、ディランとザ・バンドが一時期住んでいた住居名で、伝説の「ザ・ベースメント・テープス」はここで作られました。

10月30日[19,993歩]

※さらなる過去記事
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