あいちトリエンナーレ2016がマイタウンにやってきた


販促の松永しるこサンド

豊橋駅前を元気にしよう

2016年8月11日〜10月23日の74日間、現代美術の芸術祭「あいちトリエンナーレ2016」が開催された。名古屋会場が3回目、岡崎会場が2回目、そして今回から豊橋会場も参戦でした。

でね、豊橋駅前を元気にしようをスローガンに、以前からボランティアしてた団体さんのエリアがずっぽりと会場になり、ビジターセンターでお手伝いをしていました。豊橋会場に特化した案内などのWebページが有った方が良いかと思い、頑張って作りましたが、なくても良かったようにも思いましたね。まぁなんでもやってみないと解らんね。

ともかく、瀬戸内国際芸術祭とか札幌国際芸術祭とか大地の芸術祭とか各地で開催されていますよね。行った事はなかったし、そんなに興味もなかったけど、芸術祭の方からやってきちゃったじゃん。ですかね。これも経験、あれも経験。イロイロ有りすぎました。印象的なのは3つかな。

その1・がちゃがちゃマスターの称号が欲しい

なんと、がちゃがちゃに詳しくなっちゃいました!豊橋会場1日限定チケットと豊橋会場限定のアーティスト缶バッジをがちゃがちゃに入れて売ってたんですよ。大人気だった。マシンは、そんなに頑丈な作りではなくて、良く詰まったりするのよ。最初はびびってお助けマンを呼んでたんだけど、開催中に様々なトラブルがあり、お客さんを待たせちゃいかんし、あの手この手してる内に殆どの事が直せるようになってしまいましたとさ。がちゃがちゃマスターの称号が欲しいです!!

その2・短期決戦の戦士たち

関係者さんが精鋭部隊というか、優秀な方々ばっかりで驚きだった。キュレーターとかコーディネーターとかエデュケーターとか事務職とかイロイロな役割があって、物珍しく眺めてました。契約は、会期中や、準備段階からとか、ある意味専従とかこれまた様々あったようです。海外からやって来た方や、東京・大阪から来た方などもいましたね。

お外からさっくり見ていた印象だけなんだけど、長くても1年、2年といった短期契約の筈なのに、こんなに優秀そうな人たちが全国津々浦々から応募してくるって凄い、と思ったの。学芸員のような専門職の層が厚くなっているなら芸術祭の意義もあるかもと。私はその道のスペシャリストが優遇される社会が好きで、限りなく文化的であれと思ってるのです。それともアートを極めたり、支えたりするには刹那的に生きるべし!の人達が多いとか。どうなんでしょうか?


Net Project

その3・映像プログラムを見逃す

これは単に認識不足でした。映像を使った展示がかなり多かった。作品と同居してたり、映像のみなど。気になる内容の時は、ちゃんと見られるように注意して時間を設定しないといかん。動くポスターじゃないんだもんね。もっとじっくり向き合いたかったよ。めっちゃ面白そうだったのに時間が足りなくて諦めた作品が有り、大いに反省した。

さらに、展示とは別に映像プログラムとして愛知芸術文化センターでは8月下旬から20日間の連続上映があったのだ。短編・中編・長編が30本弱もあり、ちょっとした映画祭が太刀打ちできないほど内容が濃い。派手さはないけど、意欲的な作品ばかりだったのです。豊橋会場では、短編3本を豊橋市公会堂で1日のみの上映があり、こちらは鑑賞出来たけどね。名古屋会場のも国際展のチケットがあれば何度でもみられたし、弁士・楽士つきの作品も有ったんですよ。なんてこったい。

今回は地元のお手伝いが過酷だったので、名古屋まで通うのは無理だったけど、次回はしっかり狙うと決めました。尚、展示会場で常時流れてる映像と、映像プログラムとして集中的に上映される映像。このジャンル違いは何なんでしょうか?どういった基準?私には謎です。関係者さんに聞いてみれば良かったなぁ。

予期せぬ出合いたち

芸術祭については、いろいろ思うところがあります。が、まだまだ認識不足な事も多く消化不良なり。ともかく私の芸術祭初体験記念。刺激的な出合いのみにフォーカスしてみた。

[石田尚志さん作品]

豊橋市公会堂を使った絵馬・絵巻/プロジェクション。弟さんである石田匡志さんがシンセサイザーで奏でる様々なフーガに合わせて、石田尚志さんの新作映像などが夕暮れ時から豊橋市公会堂に投影され魅了される。凄いなぁと呆然と観てて写真殆ど撮ってません。これでもかの世界が次々と繰り出されて、のめり込んでた。圧巻。一瞬も眼が離せない程ぐぐっと集中できて幸せだった。しかも、一夜限りの生演奏付きのプロジェクションですよ、贅沢な贅沢な夏の宵だった!!!

特にコンサートなどで良く使ってた建物への投影だから、地元民としてはちょっと晴れがましい気がしましたね。なんと幼稚園の学芸会で舞台に立った記憶があったりするもん。半世紀以上前だよ、凄いね。それは、写真で補完されてる記憶だけどね。

開発ビル10Fでの展示。気に入ったので、しっかり記憶にとどめたくて3回チャレンジしました。椅子が置いてあり、1時間くらい観てても楽勝なんですよ。楽しかった!この建物って出来た時は「長崎屋」だったんだけど、その後、このフロアはボーリング場になり、さらに文化ホールに変身するという数奇な遍歴なんですよ。で、文化ホール時代の楽屋部分となる小部屋を目いっぱい利用してくれてました。整然とした画面への投影や、雑然とした部屋への投影と多面的な様子が一緒に観られてとても面白かった。逞しい作品なんだなと感じ入りました。

開催前のレクチャーにも参加しました。石田尚志さんが作品について話してくれる回も有ったんですよ、これはラッキーだった。描かれる過程や変化する時の流れなどを描いてると言うんですよ。それを考えるだけでなくて、やってしまう膨大な時間・・・凄すぎ。頭の中を覗いてみたいわ!と思った瞬間でした。

こちらも一夜限り。見逃せません!ただのビルじゃなくて、めっきり守りの堅そうな日銀ビルにプロジェクションしちゃうってのがそそりますよね。夜間だしさ。開発ビルで流れてた映像もいくつか有りましたね。ここまでの期間で会場の石田作品をじっくり見てたので経験値が上がってた。

こちらは演奏はなく、街のざわめきや車の走行音がBGM。ジェット機も飛んでました。でも、頭の中では開発ビルの会場で流れてた音が反芻されちゃってました。不思議なもんだなぁ。後半はライブ・ペインティングをやってまして、ノリノリで描いてたそうです。

そうなんですよ、サインも目の前でさらさらと絵を描いてくれちゃうのです。くどくなってすいません。書いてる内にアーティスト缶バッジを自慢するのを忘れたなと気づく。ちょっとづつ絵が違うじゃんね、いいでしょ!

[グリナラ・カスマリエワ & ムラトベック・ジュマリエフさん作品]

開発ビル6Fの奥にひっそりと置かれていたドキュメンタリー映像と写真パネルの展示作品。キルギスの作家さんです。もうね、なんといってもおっちゃんの唄が良かった!撮影してる時に、のど自慢大会のように唄ってくれたのだそうです。哀愁のメロディーなんですよ。

この手の曲は探して見つかるものじゃなくて、やみくもに現地の番組とか、それこそこうしたドキュメンタリー映像や何気ない映画から偶然出会ったりするもん。どんなチャンスも見逃せません。いつかキルギスに旅行に行き、この曲を探そうっと頭にメモりましたとさ。尚、この映像作品は2006年のものなので、10年の時が流れました。シルクロードの今はどんな風なんでしょうか。

既存の湯沸室を使ったパネル展示。この開発ビルは、再開発が決まってて近々に取り壊されます。建った時を知ってるし、歴史的な建物でもないし、昨今の壊されてゆくビルの一つだった。でもね、こんな風に湯沸室のままアートの場として使われて、最後の花道になったよね、良かったねと何かを共有した気分だった。哀愁の湯沸室ですよ、おっちゃんの唄ともどもしっかり記憶に刻まれました。

[ハーバード大学感覚民族雑学「リヴァイアサン」]

豊橋会場は、2度3度と足を運べたのでじっくり見れて良かった。開発ビル2Fのハーバード大学感覚民族雑学「リヴァイアサン」なんて87分もある作品なんですよ。部屋の前には上映開始時間が書いてあるんだけど、他に明示されてないんだよね。展示会へ来たつもりの人が面白そうと思っても、急に約90分滞在するかな。無理でしょう。公式Webには時間を書いておこうよ。ちゃんと展示内容を下調べして来てくださいね、って感じかしら。芸術祭大変だなぁ。

でさ、地元でやってるんだからお店番がいる時にトライしてみよう、10分観て面白いと思わなかったらやめればいいやん。とリトライしました。いやもうね、壮絶なカメラワークでグイグイ引き込まれる。うわっ今まで観てきたドキュメンタリーとはタイプが違うじゃん。唖然。メルヴィル(白鯨)へのオマージュでニューベッドフォードから出航しているところがアートっぽいし。真っ暗な空間、そして居心地のよいソファーでゆったり観れました。豊橋でやってくれてめっちゃ有難う。たっぷり刺激を受けました!

この作品、既にBlu-rayも出てていわゆる映画祭などでも評判だったみたいだ。映像プログラムの件もそうなんだけど、ちょっとアンテナを磨くのをサボっていたなぁと大いに反省しました。

[名古屋栄会場・旧明治屋栄ビル]

う〜む、このビルが無くなってしまうなんて勿体なさすぎ。何も言えん。本当に壊してしまうの?と県庁の方に聞いてしまったつーの。壊すのだそうです。泣ける。私ごときの腕ではどうもならんなぁ。記念の写真集が出たら買いたいものです。

あいちトリエンナーレのおかげでビル内部も見る事ができました。アートが街に出るとは、建物を見る面白さ、体験する楽しさもあると云う事なんだと、ここで初めてガツンときました。天下の明治屋ビルですからね、思い入れありすぎで、つい熱くなってしまう。すいません。ビルの印象の方が勝ってはいるんだけど、端聡さん作品はこのビルの空間にがっつり対峙してるようで印象的でした。山城知佳子さんの映像はちゃんと見たかったのに、時間がなくて断念した。痛恨だったよ。

スタッフさんと地元民のインタビュー集を「豊橋駅前大通地区まちなみデザイン会議(駅デザ)」で作成しました。

取材、テープ起こし、校正、編集、写真、コーディングと全行程を担当する。なかなか重労働だったなぁ。でも、やりたいように作ったから、面白かったし、楽しかった!

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