記憶と記録

その1
認知症の母親から「お腹ぺこぺこ」とか「何も食べるものがない」とか良く電話がかかってきた。毎日ヘルパーさんが食事作りに来てくれるようになってるから、用意してないという事はないんだわ。つまり、食べた事を忘れてしまってる。そんな事って有り?と思うかもだけど有るのよ。
仕事中だし様子を見に行くワケにもいかないからね、最初の頃はいちいちオロオロしてたなぁ。説得する経験値が低かったよ。慣れてくると解る。少し時間が経つと何を言いたくて電話をかけたのかも忘れてしまうのです。だから「それは困ったね、もう少しすると食べられるからね」とか言うと安心してくれてた(真相は謎、推測ね)。
母上は、いつでもどんな時でも自分は何一つ悪くないというタイプ。なので、ともかく相手の言う事に反発しちゃうと進まない。誰でもそうではないと思うけど、我が家はこんな風に御してました。その当時はどうやって説得しようという思考回路で、新しい出来事が起こる度に必死だった。今考えてみれば、どうしたら安心するか、安心させられるか、が重要なんだねきっと。まだ電話をかけられるだけ良い方なんだからさ。固定電話だったけど、当然、姉妹分を短縮登録ね。
その2
介護保険を申し込むと、ほどなく介護度を決める人がやってくるんですよ。なるほどねぇってのからお役所はこれだからってのからイロイロとチェック項目がある。「今日は何日?」とか「お名前は?」とかね。母上なんかちゃっかり新聞の切れ端を握りしめてたりするのよ。新聞には年月日が書いてあるでしょ、それをこっそり見るために。ヘルパーさんが「頭いいねー」なんて言ってた。クリアしつづけるとポイントが下がってしまうんだけど、まぁいいか。しかし、ある時「今の季節は?」これが答えられなかったんですよ。暑いから夏と思うのは、記憶なのか知識なのか感覚なのか微妙な問題だよね。この設問が有効と思った過程にちょっと感心した。
その3
これは自分の事。あれ?昨日お風呂入ったんだっけ?ふと思い出せなくなり、焦ったことがあった。だいたい一日おきに入るようにしてるんですよ。だけど、お正月とかGWとか不規則になると、これだ。駄目じゃん。一人暮らしの不便なところは「昨日お風呂入ったっけ?」と聞く相手がいない事だよ。まったくね。
その4
リタイヤすると、曜日が良く解らなくなると言うでしょ。リタイヤしてなくてもゴミ出しの曜日以外はあまり気にしてなかったのよ。いや、打ち合わせとかあるからスケジュール表はあったけどね。それと「今って平成何年?」これを何度、スタッフ1さんに聞いたことかっ。覚える気もなかったなぁ。でもね、スタッフ2さんは祝日にめっきり弱いんですよ。今度の月曜は振り替えで休みだよ〜とかいうと、大抵ビックリしてくれるから教え甲斐があった。目くそ鼻くそを笑うの世界(笑)。
日めくり大作戦
記憶力はやっぱり衰える。
どちらかと云うと、記憶力は良い方と思ってるからこそ、先々のダウン率に怯える日々。「この映画に出た人、あの人あの人、あ〜名前が出てこない」「じゃ、他にどの映画に出てた人?」「それも思い出せん」みたいな事ってあるでしょ。無いという人は、ここ読まなくて良いからね。今は便利だよ、片手でひょいひょいとIMDBやallcinemaをサーチしてくれる友達がお側にいれば解決するんだもん。それは置いておいて。
リタイヤしたら毎日、日めくりをめくろう。我が家には日付入り電波時計があります。モバイルもある。タブレットもある。PCもある。卓上カレンダーもある。でも、それらに頼るのは最後でいい。本日は○月○日○曜日と自覚して日めくりをめくるのだ。何よりめくり忘れないようにするのだ!と決心しました。毎日、やってます。タマに忘れる。ぽてっ。
母上もこれをやるようにすれば良かったじゃんと実は思ってた。というか、訪問介護業者は各人に日めくりを配ったらどうだね、と私は思っているのです。めくる事を習慣にするの、忘れてたらヘルパーさんがフォローする。薬を飲んだら日めくりをめくるとかさ。春だよとかも言っちゃう。日々の習慣、そしてさりげない積み重ねは大事だと思うのだった。
というワケで、年末にちゃんと日めくりを物色しました。が、和物のオサレ系は無かったわね。京都でも地道にチェックしてたのだ。探し方が新米だったかもだけど。やっと見つけたのが、こちらおフランス製。曜日もフランス語(汗)。まぁね、7種類だから、もう覚えたよ。フランスの祝日は覚えてましぇん。そういえば、ウィークリーノートのフランス版やイタリア版もある。
日々の記録
私は上記のような事柄を熟慮し、日々の記録をウィークリーノートにつけるようにしているのだった。早くからやっておけば、経験値があがるかなと思ってさ。映画と読書については40年くらい前から。テレビドラマのウォッチングが過酷に(好きこのんで過酷にしてるんだけど)なってからは、シリーズ数と番組名を記載、これは10年前くらいから。さらに加速。5〜6年前からは食事メニューやお風呂、どこかで万歩計の数値も追加。若い頃にはお小遣い帳をつけてた時期ありますね、しかし合わないと気になる性格なんですよ。なので、もうそれには囚われないようにしようと思いやめた。
記録して忘れてしまうのではなくて、過去を振り返るのでもなく、お、思い出せん!!と云う時に理詰めで追えるかなと。集計するワケじゃないんで文言は揺れ揺れのままで良いかと。お風呂はさ、どうだったか忘れたらまた入ればいいじゃん。知り合いの若者が、徹夜続きで疲れててシャンプーしたかどうか忘れて5回くらい洗ったみたいだと曰ってた事があったのよ。それでも別に害にはならんじゃん。でもさ、ご飯を食べたかどうかは、忘れたりしたくないなぁ、今の内にシステマチックにしておけば打撃も少ないんじゃなかろうか。と思ったワケ。このように日々の暮らしをちょっとばかり律してるつもり。地道に健康生活をエンチョーだい!